
中身が見えない「さらぼんのお弁当」
12時前には完売!
高田:お弁当は、冷凍食品だったり、添加物や保存料とか色々混じっていることも多いですが、「さらぼんのお弁当」は手作りの味で美味しいですね!
牧野:かまぼことか、さつま揚げ以外は、普通の食材を使っています。一手間が大事ですね。
高田:紙のお弁当箱ですが、これはなかなかいいですね。普通プラスティックのケースですよね。
牧野:プラスチックボックスより高いんです。でも、紙のボックスだと中身が見えない。中身を見てから決めるお客様は多いですから、はじめはどうしたらいいいか色々考えました。お弁当を飾ったり、写真を貼っておいたりと、色々やってみましたが、思い切って今のように「中身の見えないお弁当」として販売しています。「中身の見えないお弁当」なので、ホントに勝負ですよね。
食べるときまでのお楽しみ!サプライズ!という感じで、食べる直前にワクワクしながら、今日は何かなーと思いながらあけるお弁当にしたかったんです。
高田:確かにそうですね、メニューはあるものの文字で書かれたものですからね。でも、お弁当を開けてみてはじめて見えるのは、ある意味新鮮ですね。
牧野:なので、開けた瞬間どんなイメージにしたらいいか、ということを前日にすごく考えますね。例えば、さつま揚げと野菜の炒め物でも、どうすればキレイに見えるかなど。
高田:色々と工夫されているんですね。
「さらぼん」を見ていて驚いたことの1つは、短時間ですぐに売れてしまうこと。今日も12時前には完売でしたね。15~20分で売れしまうなんて、すごいですね。
牧野:そうですね、本当にありがたいです。毎日予約してくださるお客様のおかげもあり、いつも結構早い時間に売れ切れになってしまいます。4月からは、新入社員の方の影響もあり、販売数が多少増えましたね。実は3月と4月では大分数量が変わってきました。
絶対に忘れないお客様の「顔」と「好き嫌い」!
高田:驚いたことのもう1つに、お弁当を買いにいらしたみなさんが牧野さんへ話しかけていくこと。「週末はどこかへいかれたんですか?」とか話しかけられていましたね。
牧野:そうなんですよ。今日も田舎はどこなの?とか聞かれました。
高田:そんなに仲良く会話しているお弁当屋さんはほとんど見たことがないです。
牧野:結構仕事のことを話してくれるお客さんもいらっしゃるんですよ。『今日はこんなことがあったから落ち込んでいる。最悪だ。』とか。あまり気にしないほうがいいですよ、など会話し、2日後ぐらいに買いにいらした際に、どうでした、大丈夫でした?と聞いてみると、『それがさー、全然問題なかったんだよ!』と。
高田:お客様のことはよく覚えていらっしゃいますよね。一人ひとりにお名前呼びかけながらお話していたり、私に話す際も色々な方の顔を思い出しながらお話していますね。
牧野:予約してくださる方は、もちろんお名前は覚えています。実は名前を覚えるのはちょっと苦手なんですが、顔を覚えるのは得意なんですよ。絶対に忘れませんね。
高田:個人の方がお弁当の予約をされるんですか?
牧野:そうです。毎日のように予約は入りますね。
高田:毎月の「1ヶ月のメニュー」を見て、みなさん予約されるんですね。
牧野:確認しないで予約される方もいますね。毎回いろんなやりとりがありますから、お客様の好き嫌いは、よーく覚えていますね。私は「顔を覚えること」と、あと「人の好き嫌い」を覚えるのも得意なんですよ!思わず名前がでてこなくても、この方は牛肉が苦手で、野菜料理が好き、とかすぐに言えますよ!(笑)
高田:へぇー。
牧野:この人は、甘酸っぱいのが嫌いとか、煮物が好き、とか。そういうのは、すぐに覚えちゃうんですよ。お客様に限らず、20年以上前の友人のAさんは、「葱が嫌い!」とか。人の好き嫌いは、すぐに覚えるし、ずっと覚えていて忘れないんですよね、なぜか。好きなものより、特に嫌いなもののほうが強く覚えていますね。
高田:もともと何か食べ物屋さんをすることになっていたんでしょうかね?(笑)
10個のお弁当を売るためにトライ&エラーの毎日
1つのお弁当箱につまったたくさんの思い
高田:大変なことはたくさんあると思いますが、今まで一番苦労したことはどんなことですか?
牧野:やはり最初に売りに行った際に、どうしても10個売れなかったことですね。12個つくり、6個しか売れない。でも、逆に6個売れたことがすごいとも思いました、こんな誰も知らないお弁当屋のお弁当を6個買ってくれたという感動がありました。そして同時に売れ残りに肩を落とすこともたびたび。「あー、また持って帰って、家族で一人二個食べなくてはいけないんだなー・・・」と。
高田:はじめの2~3ヶ月は大変だったんですね。
牧野:そうですね。それで、やはり売れ残りは我慢できないと思い、まずは10個売ることを目標にしたんです。
3日目ぐらいに20数個売れたことがありました。ちょっと調子に乗って30個以上作ったんです。いきなり多くのお弁当を作ったので、ご飯の芯は残っているし、けんちん汁は最悪でした。あんなものを売り物にしてしまったということに、今非常に後悔しています。やはり丁寧につくらなければと、非常に反省しました。
高田:そういうこともあったんですね。
牧野:たまたま20個売れたので、じゃぁ30個作ってみよう、と思ったんです。でも、結局は10個ぐらいしか売れずに、20個もあまってしまった。ご飯ももったいないし、かといって、ご飯の芯が残った炊き込みご飯なんて誰も食べないだろうし、あー、バカだったなー、と。
高田:これまで色々経験して、工夫してきたんですね。
牧野:そうです。例えば、鶏肉を食べたときに、ガリッと、軟骨が残っていたことがあった。お客さんから指摘されたんです。
高田:お客さんに食べていただくものですから、最新の注意が必要ですね。
牧野:毎日反省ばかりなんですよ。あー、今日のメインディッシュは味が薄かった、とかね。(笑)
高田:販売終了後に戻ってから食べるんですか?
牧野:いいえ、毎日午後3時頃に食べるんです。味のチェックもありますが、ランチタイムから2~3時間経過した際のお弁当の味や新鮮度のチェックをするんです。忙しくてランチタイムに食べられず、あとから食べられるお客様もいらっしゃいますので。
高田:なるほど。出来立てではなくて、時間が経過してからのお弁当の状態の確認なんですね、すごいですね。
牧野:毎日日誌もつけているんですよ。一言だけですが。
高田:次回調理する際に参考にしているわけですね。
牧野:あとは、見た目もチェックしています。あるとき、お弁当を盛りだくさんつめたことがあったんです。試食の際にあけたとき、ご飯やらおかずやら、たくさん蓋についてしまっていたんです。見た目にきれいじゃないんです!開けた瞬間、そんなお弁当はちょっとがっかりしますよね。
高田:確かにお弁当は見た目も大事ですね。味や鮮度の他に、そういう細かい点もチェックされているとは、本当に頭が下がります。
牧野:家族のお弁当ではなく、人様に売るものですからね。
高田:日々考えて考えて、工夫しながら取り組んでいる姿勢がよく伝わってきますね。改めて、あの500円のお弁当には色々な思いがびっしりとつまっているんだな!と感動しますね。
(前半おわり)
後半の内容
次回後半では、10個からスタートしたお弁当が100個売れるまでの経緯、1周年を迎えた日の思わぬエピソードなどお伝えします。また、家庭・子育てと仕事の両立や、働きたい女性へのメッセージも熱く語っていただきました。次回をお楽しみに!
【2007年7月2日 UPDATE!!】
対談の後半をアップしました。つづきはこちらからお読みいただけます。
