
個々の介護レベルやニーズにあったケアプラン
3か月に1度の見直し
高田:入居される方がただのんびり過ごす場所だけではなく、個々のレベルやニーズにあった活動をケアプランに立てているとか?
吉村:ケアプランは個別につくります。身体、精神状況、既往歴、趣味、嗜好、性格、背負ってきた人生などすべて個々人で異なりますので、じっくりと対話をしたり、ご家族や関わりのあった病院から情報をいただき担当ケアマネージャーがケアプランを作成します。
高田:具体的にどのように作成されるんですか?
吉村:ご家族の方とも相談し、またご本人の希望も確認しながら立てます。短期目標と長期目標があります。たとえば、脳梗塞などの後遺症がある方は、リハビリをいれていくとか、介護度の軽い方はなるべくADLのレベルを落とさないプランをたてていかなくてはならないなど、個別にその方にあったプランをたてています。
注) ADLとは、日常生活動作(Activities of Daily Living)の略で、食事、排泄、着脱衣、入浴、移動、寝起きなど、日常の生活を送るために必要な基本動作のことで、高齢者の身体活動能力や障害の程度をはかる上で重要な指標の一つとなっています。
高田:ご家族とともにケアプランをたてるのはいいですね。
吉村:3か月に1度ケアプランを見直し(モニタリング)ます。前回の目標に対して今の状況をお話し、どの程度達成できたのか、或いは今後はさらにどうしていくのかということを本人やご家族の意見を交えながら話し合い、ケアプランを作成します。ご家族がどうしてもいらっしゃれない場合は、郵送し、内容をご確認いただいた上でサインしていただく形式をとっています。ご家族は入居者の方が、今現在どんな身体状況、精神状況であるのか確認できるように、毎月一度請求書を郵送する際にお手紙にて近況をお知らせするようにしています。
スタッフがいつも寄り添い、見守っている
自分の家でくつろぐ感覚で自由に過ごす毎日
高田:入居者のみなさんの日常生活はどのような毎日ですか?
吉村:レクリエーションやお散歩、体操など一切強制、束縛はしません。折り紙や手芸が好きな方は自由に楽しむ、体操をしたい方はする、川柳を書くのが好きな方は自分のお部屋で書いていらっしゃる方もいます。夢中でお相撲の番組を見ている方もおられます。スタッフはいつも寄り添い見守っています。自分の家でくつろぐ感覚で、自由に過ごしています。ただ、寂しくならないようにお声がけしていますので、みなさん擬似家族という感じですね。
高田:1階のリビングはいつ来てもいいようになっているんですね。
吉村:はい、自由です。日中はだいたいみなさんリビングで過ごされています。特に認知症の方は、「一人にしない・させない」というのがモットーですから、なるべく人の気配を感じられる場所で過ごし、それが脳の活性化にもつながりますので、就寝のときだけ部屋に戻るというようにしていただいています。
高田:「一人にしない・させない」ということは大事なんですね。
吉村:個室でポツンと一人でいたり、テレビだけ観ていたりすると、認知症がものすごく進んでしまいます。緊張したり、気を遣ったりするのがものすごくいいようで、なるべく他の入居者の方々とのふれあいや、スタッフと接するなど認知症が進まないよう工夫しています。
高田:一日のプランでお散歩とか、いろいろなスケジュールがあるようですね。
吉村:朝の10時のお散歩は毎日の日課です。もちろん、行きたくない人は無理に行かなくてもいいんですが。食事はスタッフも一緒にとります。午後からは自由時間で、午後3時のおやつの後はレクレーションです。日々メニューは異なります。カラオケなどもやります。強制はしませんので、歌う順番が必ずまわってくる訳ではありません。(笑)
高田:カラオケなんかもされるんですね。
吉村:結構みなさんお好きなんですよ!(笑)懐メロオンパレードでにぎやかです。
高田:みなさんはお1人で入居されていらっしゃるんですか?
吉村:他のユニットでは、ご夫婦で入居されていらっしゃる方が2組いらっしゃいます。
高田:ご夫婦でずっと一緒の時間を過ごせるのはいいですね。
作業を工夫して「見える化」実施
スタッフ全員が共通認識を持って作業することが大切
高田:いくらケアプランをつくっても、昨日はものすごく元気だったのに、翌日はちょっとおかしい、というようなことってありますよね?
吉村:あります! もう日々の観察ですね。
高田:何か工夫していらっしゃることはありますか?
吉村:申し送りノートですね。いくら作っても、忙しくて見ないスタッフがいたりします。確認せずにすぐに現場の仕事に入ってしまい、申し送りを見落としてしまうことがあるので、現在は「A4の紙」にして掲示、更新し続けたものを「見える化」しています。
高田:1階のスケジュール・ボードの前に張り付けられていたリストですね。
吉村:そうです。スタッフはシフト制で、仕事開始時刻がバラバラなので、常に「見える化」されたその申し送りがチェックできる環境を作っています。また、朝出社した際に、入居者一人ひとりの顔色とか、状態をよく見て、夜勤の申し送り含めて観察します。なんか、ちょっと今朝は元気がないみたい?とか、睡眠不足ではないのか?など「気づき」を大切にしています。何か原因があるはずなので。
とにかくスタッフ一同共通認識のもと、同じ方向に向かってやらないと意味がないので、特に注意しています。個人プレーではなくチームワークがよい結果を生みます。
高田:日々いろいろと工夫されてやっていらっしゃいますね。5棟、それぞれカラーがあるでしょうから、1棟ずつ状況を吸い上げて整備していくのは大変なことですね。
吉村:そうですね。まず環境のことがあります。建物が違うし、大きさも違う。プラス、ユニット管理者の性格も、キャリアも違う。また、入居者の方々の介護レベルも違いますから。
(前半終わり)
後半について
後半は、2か月で既に効果がでた研修、仕事に対するモットー、今後の「しあわせの家」の展開についておうかがいしました。また、吉村さんがこれまでの人生を振り返り、今後チャレンジしたいこと、また女性へのメッセージもいただきました。お楽しみに!
#2007年9月13日更新:対談の後半をアップしました。
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