
第5回:吉村真佐子氏 /グループホーム「しあわせの家」ホーム長 経営者
第5回 「カラフル・キャリア対談」は、グループホーム「しあわせの家」を経営している吉村真佐子さんをご紹介します。
37歳で福祉の大学へ入り、福祉経営を基礎から学び、入学半年後にはグループホーム「しあわせの家」をオープン。『我が家』のイメージを大切にしたアットホームな雰囲気をモットーに、入居者の個性を尊重し、穏やかで家庭的な環境の中、質の高い認知症高齢者ケアを提供しています。ホーム経営・子育て・学業と毎日多忙な吉村さんへ、いろいろとお話をうかがってきました。
プロフィール
吉村真佐子氏/グループホーム「しあわせの家」ホーム長 経営者
20代は大手メーカーにてOLを経験し、結婚、そして出産と同時に退職。ご主人の会社を手伝っていたが、30代でシングルマザーとなる。37歳で福祉の大学へ入り、その半年後にグループホーム「しあわせの家」をオープン。現在は、2棟のグループホーム及び3棟の小規模ホームを経営している。現在早稲田大学ビジネススクールの2年生でもある。
グループホーム「しあわせの家」オープンのきっかけ
年齢に関係なく、強い思いさえあればできる!
高田:こちらの「しあわせの家」はアットホームで居心地のいい場所ですね。
吉村:グループホームは、5名〜9名が1ユニットになっており、ここは9名の方が入られています。みなさんには、ご自分の家のようにくつろいでいただきたいと思っています。
高田:家族の方がいつ来てもいいグループホームは、とっても安心感がありますね。
吉村:大きな施設や、病院もそうだとは思いますが、面会時間が何時から何時までと決まっている所がほとんどです。何日にしてください、と日程が決まっているところもあります。「しあわせの家」は、「会いたいとき」が「来たいとき」というように日程、時間はオープンにしています。
高田:一番大事なことですね。
吉村:やはりご家族の方にしてみれば、お昼の時間に行ってお食事内容を見てみたいとか、日中どう過ごしているのかとか、心配になりますよね。自分の立場で考えるとそういうことが気になるので、そうしたお気持ちを察しています。
高田:グループホームをはじめられたきっかけを教えていただけますか?
吉村:もともと母のグループホーム「緑の風」を立ち上げから手伝っていました。介護保険導入直後、千葉県内でもまだ4、5件しかなかった頃です。母の所を手伝っているうちに、ここで学んだことを基礎に自分なりのものをつくりたいという思いが強くなってきたんです。
高田:お母様のグループホームがある意味きっかけだったんですね。
吉村:母はもともと専業主婦が長かったのですが、子供から手が離れて、60歳での開設でした。「年齢には関係なく、強い思いがあればできるのかな!?」、ということを目の当たりにしましたので、私もちょっと挑戦してみればできるかもしれない!と、やってみることにしました。
福祉や経営の知識もなく、37歳の時に大学(福祉経営学科)へ入学しました。入学後、1ヶ月の時に会社を設立し、半年後の夏休みを利用し「しあわせの家」をオープンしました。大学で学んだことを現場に持ちかえり実践する、現場で問題があれば大学の教授にどうするべきかアドバイスをいただく、という繰り返しでした。
高田:実際に子育てをしながらですよね?子育て、ホーム運営、学業と多忙な毎日だったのでしょうね。
「しあわせの家」の立ち上げと子供の喘息
「やるからには楽しまなくては損!」
吉村:立ち上げの頃、ちょうど子供が喘息を患っていました。私自身もシフトに入らないといけない状況でもありました。発作が起きるとよく病院に連れて行ったことを覚えています。ひどいときは、夜中の2時に病院へ連れて行き、戻ってきて、また4時半に病院へ連れて行く、という非常に厳しい状況の時もありました。子供が1週間千葉大付属病院へ入院したこともあり、立ち上げ時は本当に大変な時期でした。
高田:そんなことがあったんですね。
吉村:おかげさまで今ではすっかり回復し、喘息は完治しました。アットホームなグループホームなので、当時小学5年生だった息子は、このホームの事務室の机でお絵かきさせたり、宿題をさせたりしました。一人じゃないですし、常にたくさんのおじいちゃん・おばあちゃんがいる。そういう家庭的な環境で子供も一緒に仕事に入れたと思います。いろいろな場面で、いろいろな方々に助けられてやってきたことを痛感しています。おかげさまで息子も高校2年で、今では自分のことは自分でするようになりました。土日はバイトとして荷物を運んだり、書類を届けてくれ頼もしくなりました。
高田:お母さんがお仕事していても、グループホームの温かい家庭的な環境であったことは、とてもプラスでしたね。
吉村:忙しい中、時間をやりくりし働いてきた私の後ろ姿を見てきたことは、子供にとってもいいことだったと思っています。
「何事も楽しまなくては損!」そんな気持ちでやっていたような気がします。(笑)
子供もグループホーム内でおじいちゃんたちとオセロや将棋を楽しんだり・・・逆に利用者さんに助けていただいていたんですね。
高田:それはありがたいですね。起業していると、ワクワクと楽しい反面、辛くて大変なこともたくさんありますから、「すべて楽しんでやれ!」という気構えでやれるぐらいでないと駄目ですね!
吉村:今が大変でも「来年の今頃にはきっと笑っていますよ!」と励まされました。
高田:それは素晴らしい! 立ち上げが大変だったようですが、今実際に笑っていますからね。
吉村:高速道路をわき目も振らず、突っ走ってきましたが、本当にいい思い出です。
高田:実際に経営しながら、現在はビジネススクールにも通われていらっしゃるんですよね?
吉村:大学では福祉のことは学べましたが、経営の方はそれほど学べなかったので、これから経営をしていくにあたり、もう少しマネージメント的なことを勉強したかったんです。
高田:ホーム運営をしているお忙しい中、常に学ぶ姿勢に頭が下がります。
吉村:私は「現場」が一番、「現場」が大切だと思っていました。子供のことで病院にいくこともある。また5棟すべてを毎回巡回できるわけでもない。何かあっても、私がいなくても、常に現場がしっかりと自主的にまわっているような状況をつくりたい、と。そんな時、病院の待合室で遠藤功教授の『現場力を鍛える』という本を読んでいました。「これだ!」と思いました。遠藤先生が教鞭を執っていらっしゃる早稲田ビジネススクールへの入学への決意はこの時からです。念願叶って早稲田ビジネススクールでは、現場力や組織のオペレーションを遠藤先生からご指導いただくことができました。
