
幼稚園のころからミシンで縫っていた
服は全てお母さんの手作り - 遠足での出来事・・・
上杦:私は幼稚園のころから、実家の工業ミシンでゲーム感覚で縫っていました。直線だけ手ばなしで。小学校のときにはスカートやバックを縫ってました。
高田:わぁー、すごい! 私は中学校の家庭科ではじめてスカートを縫いました。そのときはじめてミシンに触りました。では、子供の頃からお好きだったんですね。
上杦:はい、好きでした、ミシンは大好きです!
高田:ご両親は一緒に経営されていらしたのですか?
上杦:そうです。自営業ならではのスタイル。好きなときに家族で遊びに行ったり。(笑) 小さい頃からその自由さには慣れていました。だから、拘束されるというのが耐えられませんね、今でも。
高田:では、いつかご両親のように、自分で何かやりたいな!と思っていたんですか?
上杦:そうなのかもしれません。ただ、自営業は相当自分に意識がないとできない。自分のためだけに、自分勝手にやっている!となりがちなので。その部分に対する怖さはあったと思います。
高田:今はほんとに自分の好きなモノを作っているんですね。やはり小さい頃から、布や生地に触れ、触ったり、縫ったりしていたので、まったく抵抗がなかったんでしょうね。
上杦:布が大好きです。小さいときから服が好きだった。母親がいつも作ってくれていた。笑い話があるんです。子供のころ遠足に行ったときのことです。母が作ってくれた上着をボストンバックみたいな大きなバックに入れた際に、ファスナーにひっかかってしまったんです。なかなかとれなくて、先生はその洋服を切りなさい!と言ったんです。でも、私はバックを切ったんです。
高田:先生が切りなさいといった洋服ではなくて?
上杦:はい、そうです。あとから思ったことですが、それは価値観の違いですよね。小学校の時の出来事ですが、私はやっぱり洋服が大事だったんです。
高田:お母さんの手作りですからね。
上杦:きっと、「お母さんがつくってくれたものは切っちゃダメ!」という思いがあったんでしょうね。家に帰って母にその話をすると「そうだよね!(バックを切るよね)」と、当り前のように言われたんですよ。(笑)
高田:小さい頃の面白い、心温まるエピソードですね。
上杦:手作りのものって、温かいもの。でも、何かあか抜けない感じがする。私は小さい頃から、「手作りですか?」って聞かれると、「いいえ、違います・・・」なんて答えていた。
高田:小さいときは嬉しい反面、既製品の洋服をなんとなく羨ましくも思ったりしますね。
上杦:最近は「思い」が大事に感じます、「その人の思い」がないと良い物は作れないと思うんです。量販の場合は、大量につくる。他国の人が(無理して)縫った場合は、もしかして「あー、疲れた。早く帰りたい・・・」なんて思いながら縫っているかもしれない。そんな思いが入っている洋服が海を渡って日本に入ってくる。それはあんまり体によくないなーと思う。それより、「こんな感じにあの人に着て欲しいな」と思って作っている方がずっと健康的で良いと思います。
高田:服に対する「思い」に拘りがありますね。
上杦:もちろん、どんな風に思って着るかにもよりますが、もし喜んで着ていただけるのであれば、とても嬉しい。だから、最近は「手作り」というか、「ハンドメイド」というか、「思いが入っているモノ」としてお客様に紹介するようにしています。
高田:小さいときからお母様がつくってくれた手作りのものを着て育ったことも大きく影響しているのかもしれませんね。
OLも経験した20代のキャリア
上杦:両親が繊維業界でしたので、これからは繊維業界はよくないから、安定した会社に就職しないさい!と言われたんです。それで、はじめは富士重工に就職したんですよ。
高田:あっ、そうだったんですか。それはまたお固い会社へ入社されたんですね。
上杦:両親の希望は聞き、一度は就職したんですが、文化服装学院の夜間へ通い、その後昼間へ編入したんです。学ぶうちにやはり本格的に服を作りたくなったんです。退職する時、オフィスのみなさんはとても快く送り出してくれたんです、「頑張れよ!」「絶対やれよ!」と。
高田:ありがたいですね。
上杦:本当にありがたいです。学校がある日は、時間きっちりに残業なしにしてくださいました。3年間OLを経験しましたが、お昼休みはいつも近くのデパートで、いろんな洋服を見て回ったりして、とても充実していました(笑)。
高田:その頃からチェックしていたんですね。その3年間はいかがでしたか?
上杦:とても役に立ちました。基本的なことですが、電話応対、書類の作成、あとは海外との取引も多かったので、海外送金のやりとり、アニュアルレポートの作成、財務諸表の作り方など、財務に関わることも多かったです。ですから、経営に関わることは、1社目で学んだと思っています。
高田:今に活きていますね。
