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量販店での仕事
2週間に1度のペースで中国各地方の工場をまわった

第10回:上杦真由美氏

mamius高田:オートクチュールの次に量産の会社と契約されたんですね。

上杦:そうです。次に入社したところが中国生産をメインにしているところだったんですね。そんな世界は全く知らずに入りました。

高田:これまではオートクチュールでしたからね。

上杦:企画で入りましたから、デザインとかいろいろやらせてくれました。中国には何度も足を運びました。半月に1度、商社マンのように行ってましたね。(笑) 

高田:深州、上海、武漢など、方々行かれたそうですね?

上杦:はい!当時、中国は今のように交通事情がよくなく、各地の工場へたどりつくまで本当に大変でした。舗装されていない道路はあたりまえ、だから、よく車のタイヤがパンクするんです。。 せつなかったですね・・・。飛行機もプロペラ機でしたし、上海から杭州まで行き、そこから車で2時間ぐらい移動したりとか・・・。

高田:それは工場に行かれたんですか?

上杦:そうです、最終インスペクション、検品です。デザインをしたものに関しては、最終ジャッジをしなくてはいけませんでしたから、確認して、サインして、出荷の許可をだしていました。

高田:現地にたどり着いたとしても、すぐにOK!サインできるものばかりではないんですよね?その場合はどうされるんですか?

上杦:縫い直してもらいます。それまで待ってます。お直しの箇所を説明し、それが上手く出来上がってきたのを確認した上で、「これなら出荷できる!」と判断できた時点で終わりです。

高田:クオリティはいかがでしたか? 

上杦:それほどびっくりするようなお直しなどはありませんでしたね。当時工場のみなさんはとても熱心で、「これ違うよ!」と言うと一生懸命修正してくれました。

高田:反抗するのかと思いました。

上杦:いえいえ、そういう感じではなかった。現地ではその会社がいい工場だったのかもしれません。香港で生地を買いつけ、香港の商社から生地を入れてもらって、縫製をして出荷する、という具合に、仕事はスピーディーでした。

高田:中国出張というよりは、まずは現地にたどりつくまでが大変だったんですね。

上杦:何か、商社マンのような感じでしたね。半月に1度のペースでしたので、空港の通関の方々にも顔を覚えられました。(笑) そういう状態でしたから、あまり長く続きませんでした。1年半で退職しました。

高田:その後にトラッドの世界へ入られたのですね?

上杦:はい。 企画の仕事で入社しました。

自分の企画が通らなくなり、
自分で自分の思いを形にしたくなった

mamius高田:その当時から、いつかは自分のものをつくりたい!という思いがあったのですか? そのためにはオートクチュールだけでなく、企画も含めてやらなくては、と思われたんですか?

上杦:「やりたいな!」と思ったのは、企画が通らなくなってからですね。 「これはいいのに!」と思っても、癖がありすぎて、企画が通らなくなりました。

高田:それは以前の職場を辞める頃の96年のあたりですか?

上杦:そうです。例えば、「この金額だと高いから、ここのデザインを削って、この金額の範囲でおさめて!」とか、「こっちはこの金額の範囲で企画して!」というように、「モノがいいとか悪い」とかではなく、コスト中心だったんです。「サラリーマンはもう辛いな、向いていないな。」と思いました。モノというよりは、まずコストがでてきてしまう。金額の上限はここまで、と制限された中でやらなくてはいけなかった。

高田:それは、「やりたい」「つくりたいもの」があるんだけど、そんなコストではできないという思いが強かったんですね?

上杦:そうですね。矛盾がありすぎました。「これがよし!」とするものを商品にできない苦しさがものすごくありました。ですから、「自分がちゃんといいと思ったものを作りたい!」と思いました。

高田:変に妥協せずに、ですね。

上杦:はい、妥協せずに、ちゃんといいと思ったものを作りたい!と思ったんです

高田:「いいものだ!」と信じて提案してもなかなか企画が通らず、妥協せずにいいものを作りたいという思いがどんどん強くなったんですね。

上杦:ですから、通らなかった企画は全てためておきました。

高田:結構たまったんですか?

上杦:沢山たまったので、少しずつ制作してみました。卸売りのスタイルで恐る恐る売りに行ってみると、売れたんです!!

高田:「ほらね!」「売れるでしょっ!」と嬉しかったでしょうね。

上杦:はい!びっくりしたのは 売れてしばらくすると、似たようなデザインが出てくる。企業はとにかく今売れるものを作るのが使命ですから。

高田:確かに「もどき製品」って、たくさんありますね。どこどこブランドのワンピースっぽい!とか。

上杦:決して悪いことだとは思いません。コストダウンして、消費者にやさしい価格の物として売られている訳ですから。社会貢献になっているわけでもありますから。 

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