
突然アイディアが浮かぶ瞬間
「つくりたい!」という気持ちがどんどん湧いてくる瞬間が一番楽しい!
高田:97年から11年もやってらっしゃるのはすごいですね。
上杦:あら、そうですね、11年ですね・・。いつも安定している訳ではありませんから、いろんな波があったりとホントに大変なんですよ。普通辞めるだろう!という状況も何度もありましたから。
高田:特にアパレル業界は景気に左右されることも大きいでしょうし、大変なことも多いとは思いますが、それでも続けてやりたい!と思うのはどうしてですか?
上杦:いや、これしかできないですから。(笑) 自営業の人は、こういう生き方に慣れているんです。大変なとき、悪いときでも、体が健康で、自分自身が健全でいられるのであれば「よし」としますよね。何をよしとするのかは、気持ちが平穏であれば、それでOKなんです。
高田:では、辞めようということはあまり思わないんですね。
上杦:そうですね。というか、いつでも思っています。(笑) 自分が辞めようと思わなくても辞めなくてはならない状況もあるかもしれない・・・。いつ、どんなことが起こるかわからない。ですから、いつ死んでも、何があってもとにかく後悔しないようにものづくりをしていきたいと思っているんです。「今日やれることは今日やって」、「明日やれることは明日やって」というように。
高田:頼もしいですね! 私も見習わなければ・・・。 やっていて一番楽しいときはどんなときですか?
上杦:アイディアがでてくるときですね! 「きたー」という瞬間があるんですよ。いつ、どんなときにそうなるのか自分でもよくわからないんですが(笑)、アイディアがどんどん湧きあがってくるんですよ。それがすっごく楽しいんです! 「つくりたい!」という気持ちがどんどん湧いてくる瞬間がものすごく楽しいんです。
高田:それは、何か秘訣とかあるんですか?あの辺を歩くといい、とか。
上杦:いいえ、突然くるんです! ですから、その瞬間はもうすごいですよ。閃いたことをどんどん紙に殴り書きしていくんです。とにかくメモを書いて、それをたくさんためてます。あとからそのメモを見て、「あれっ、これってどんな風に考えたんだっけ?」なんて思うこともあるんですが、まぁ、いいからやってみよう、という感じですね。(笑) 怖いのは、「さぁ、デザインするぞー」と思っても何も浮かんでこないこと。ちっともいいアイディアが浮かんでこない。「いいもの」が書けない。
高田:私も、机に向かって意気込んだだけでは全く書けないことがあります。
上杦:まあ、普通のものはでてきますよ。仕事として何とかできるもの。でも、自分が思う「本当にいいもの」、「新しいもの」だったり、「斬新なアイディア」だったり、そういうものがでてこない。机に向かっているときではなく、突然「あー、きた!」という瞬間に湧き上がってくるときだけですね。(笑)
高田:どんな風にアイディアが湧き上がってくるんですか?
上杦:アイディアがでてきたときは、10分ぐらいで30型ぐらいのデザインがでてくるんです。生地とか10分ぐらいで選べちゃうんです。何もかも全てとても早くできるんです。普段は仕事が遅いのに・・・。
高田:その瞬間はアドレナリンがでまくっているので、集中していろんなものが出来上がっていく瞬間なんですね。
上杦:今まで何にこんなに時間をかけていたんだろう・・・って思うぐらい、早くできちゃうんですよ、ホントに。どういう瞬間にそうなるのか未だにわかりませんが、1つだけ言えるのは追い込まれた方が出てくる。ということでしょうか。
服へ込める思い・拘り・コンセプト
上杦:人間として生活をしていく上で服をさまざまなものから守るツールと考えるならば、できる限り心地よく、ストレスがない方がいいと思う。ナチュラルに、自然なままでいられる心地よさを感じていられる服でありたい。。 また、自分自身も気張らず、服を作ることが自然であり続けることを願いながら作っています。
高田:こちらへディスプレイされている個性的な服を見ていても感じますが、すべていろんな思いを込めて作られていますね。
上杦:思いとしては、例えば女性であれば、おばあちゃんになっても残しておきたい服。人生の中での大事な場面だったり、何か思い出が残る、思い出がつまった服、そしていつまでもとっておきたい大事な服でありたい、と思っています。
高田:温かい感じがしますね。
上杦:そういう大事なシーンとともにいられる服、捨てられるような服ではなくて、おばあちゃんになったときに、「あー、あの時はこうだった!」と思いだしてもらえるような服。
高田:素敵ですね!確かに簡単にあげちゃったり、捨てたりするものもあれば、もう着ないんだけど、どうしても捨てられない服、そばにおいておきたい服ってありますね。
上杦:ですから、ホントに悩んで買っていただきたいですね。mamiusのお客様は年齢も幅広く、若い方からご年配の方までいらっしゃいます。ぜひ多くの方に手にとって見ていただきたいと思っています。
高田:ものづくりとして大切にしていることはありますか?
上杦:ある部品屋さんが言っていたことなんですが、「必要なもの、ないもの、改良したもの」。それでものづくりを考えるとお客様に振り向いてもらえる。本当に必要で、他ではないもの。「改良したもの」は実績のあるものの改良版。この3つを頭に入れてバリエーションを考えればとてもバランスが良い。すばらしいな!と思ったので、私も参考にしています。
高田:ものづくりの職人さんというか、本当にデザイナーさんですね!
上杦:洋服は、沢山必要なものではない。去年のコートだって着られるし、去年のジャケットだって着られる、ある程度着れる洋服さえあれば、新しく買う必要もないもの。毎年何枚もなくてはならないものではない。ですから、「薬服」、必要である服でありたいな、と。
高田:ご両親がつくられていた「薬服」ですね。
